こんにちは!改めまして、あきっと獣医です!
ずいぶんと更新が滞ってしまいまして、楽しみにしていただいていた方、本当に申し訳ありません(誰も期待してないって?)。
また、はてなの皆さんのブログもこのところなかなか読めてなくて、申し訳ないなーと思いつつ…また少しずつ読ませていただきたいと思っております。
あれこれとネタを思いついてはまとまらず、時期を逃してきてしまいましたが、また少しずつ書いていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
大雨の災害から続く猛暑、台風の影響で、復興に苦戦されている地域の皆様には心からお見舞い申し上げます。
近年は本当に集中的に大雨が降る傾向が強いですね。。
それに加えて、この夏は異常とも思える連日の猛暑日でした。
何だか地球が悲鳴を上げているような、怒っているような、気がしてしまうのは私だけでしょうか?
突然の災害に備えて、防災グッズは充実させておかなければですね。
さて、今回は、私がなぜ中医学を勉強しようと思ったのか。
自分の第一歩を振り返りながら、気持ちを一新させていきたいと思います。
中医学に興味を持ったきっかけ
私が中医学に興味を持ったのは、5年くらい前、息子を子育て中で自分がいわゆる二人目不妊で悩んでいて、体力勝負の獣医師の仕事復帰も避けていた頃でした。
不妊について色々調べていくうちに、漢方薬で身体のバランスを整える方法がある、というのを知り、それまで西洋医学での動物の治療しか施してこなかった私にとって、それはとても衝撃的な出来事でした。
さっそく調べて地元の漢方薬局に行き、診察してもらってから漢方薬をもらってせっせと飲みました。しかし、当時かかっていた漢方薬局でいただいた漢方薬は、今から思うと個人の体質に合わせたオーダーメイドではなく、パターン化されたものであったこと、診察も問診、望診、聞診のみでしたし、ただ漢方薬だけに頼るだけの治療だったためか、不妊に対しての効果はあまりなく、基礎体温の変化もそれほどありませんでした。
それでも、なんとなく元気が出た、足先の冷えが少し解消されたという効果の実感はありました。
自分の身体が変化するのを実感して、ん?これはすごいぞ?と思えました。
「身体に優しい治療法がある」ということを知ったことは、大きな転機になりました。
さらに調べていくと、鍼治療という選択肢もあること、 ペットにも応用されていることがわかり、これは私が心からペット達にやってあげたい治療なのではないかと思いました。
中医学を知るまで
大学の獣医学科で学び始めた時から、卒業して初めて動物病院に勤務し、勤務医として経験を積むまで、ひたすら西洋医学に没頭していたので、若い頃の私は、治療にはペットの苦痛が伴うことは可哀想だけど仕方がない、と普通に考えていました。
だけど、経験を積んでいくうちに、病気と戦うペット達や、それを少しでも助けようと奮闘する飼い主さん達の様々な姿を目にしました。
手術して病気のダルさや痛みで苦しむワンちゃんネコちゃん、術後管理のため何回も採血して痛みや恐怖に耐えている。
椎間板ヘルニアの手術も、治る確率が低くても、現状打破のためにはそれしか手段がないからと手術するも、術後の痛みやリハビリが大変だったわりには、ほぼ変わらない状態が続くワンちゃん。あるいは、麻痺してからもう時間が経ちすぎて、手術しても治る可能性がほぼないからと、治療をあきらめざるを得ないワンちゃん。
自己免疫疾患、ホルモン疾患などの慢性病で、定期的に検査が必要だったり、結局はステロイドホルモン剤や免疫抑制剤に頼るしかなくて、それでも状態は良くはならない。
抗がん剤による治療で食欲や体力が落ち、このまま続けていって良いのだろうかと、不安や期待が入り交じる中、それでも少しでも可能性があるならばと、お金も時間も使って必死に我が子の治療を続ける飼い主さん。
そんなペット達、飼い主さん達の相手をしながら、「副作用に苦しみながら現状維持しかできない治療ってどうなのか?もっとペットも飼い主さんも楽になれる方法ってないのだろうか?」
そんな葛藤がいつしか芽生えてはいたものの、行き詰まった治療を変えてくれるものがあるなんて考える頭もなく、悶々としていました。
だけどそれが、あったんですよね。
知らないだけだった。
知ってたらもっと状態を楽にしてあげられる方法をもっと以前から提示できていたかもしれません。
中医学をやっていきたいと強く思ったきっかけ
また、自分の身内が受けた西洋医学の治療にも多くの疑問がありました。
私の旦那さんは2度の外科的治療の後に、その合併症状というか、体の痛みなどに非常に苦しみました。
椎間板ヘルニアの手術では、手術直後、ものすごく痛がっていました(モルヒネに近い強力な鎮痛剤でも効かない)。退院してリハビリを重ね、数ヶ月でほぼ手術前のように歩けるようにはなりましたが、時々おこる症状・・・「足のつり」に10年近くも悩まされ、担当医に訴えても、「ふくらはぎをよく伸ばすように」としか言われず、セカンドオピニオンにいっても、「手術の合併症ではない。神経異常はなく治っている。」と、患者の声に耳を傾けてくれるそぶりもなく、芍薬甘草湯という一般的に足のつりに効くといわれる漢方を出されるだけ。それを飲んでも何も変わらず、手術した、治った?、はいそれで終わり?の治療には、側で見ていてうんざりしました。
肺の切除術では、肋間から開胸する手術となり、肋間の内側の筋膜を剥がして中の気管の接合部に張り付けました。そのため、はがした筋膜がつっぱって痛む。そして肋間神経痛にも昼夜苦しみ、また、食べたものが上手く食道を通過してくれない感覚にも悩まされていました。術創側の胸やお腹はとても感覚が敏感で、少し当たっただけでも激痛が走る。もう、ちょっとした身体障害者のような感じです(身体障害者の方を悪く言おうとしている表現ではありませんが、不快に思われたら申し訳ありません。)。日常生活が大変なのです。もちろん呼吸だって、肺を1/4も取っているので、少し早歩きしただけで苦しくなる。
本人が一番辛い思いをしているのはわかるのですが、側で見ていながら何もできない私も、本当に辛かったです。
そして、亡き父。
父は10年近くも慢性腎臓病により透析治療を受けていました。
晩年は腎機能が一切不能となり、体内では尿も作られず、身体から排出される水分と毒素はすべて機械に頼って体外に出さなければならない状態でした。
透析に使う血管はボロボロになり、血液が固まりにくくなる薬を飲んでいても血栓という血の塊ができて血管がつまり、心臓のカテーテル手術や足のカテーテル手術を受けたり、カルシウムが流出して骨が弱くなり、骨折したり。長年の腰痛も年々酷くなったり。晩年はあちこちが悪くなり苦しんでいたことでしょう。
そんな父は、ある日お腹を壊したようで、突然ひどい下痢になり病院へ運ばれると、腸閉塞だと診断されたかと思ったら、意識不明の重体に陥り、横紋筋融解症というわけのわからない病気になってICUへ入院しました。
肝臓の数値が爆発的に跳ね上がり、腸閉塞も治らず、意識だけはなんとか取り戻したものの、下肢は麻痺し、多臓器不全と診断されました。
腸閉塞のため口からものをとらせてもらえず、鼻から胃につながるチューブが挿入され、手や足には点滴が何本もつながり、時々は透析のチューブもつながり…。
体中がチューブだらけでした。
のどに絡まる痰を苦しみながら出してもらったり、往来する熱に苦しんだり・・・。
それでも父はなんとか治ろうと、途中までは気力で頑張っていました。
家族皆の応援に応えようと、必死に頑張っていました。。。
でも、ダメだった。
私は嘔吐が止まっていると聞いたとき、何度も口から食べさせてあげたい!!と思い、一度だけ看護師さんにお願いをしましたが、医師には了解を得られず、結局、入院してから最後までの約1ヶ月半の間、父は何も口にすることはできませんでした。
最後まで、チューブが外されることはなく、延命だけはさせられていたけど、はっきり言って最後はもう人間の姿ではありませんでした。
私は最後まで身体の痛みやダルさと戦い、頑張り抜いた父を本当に立派だと思います。
でも、もっと早く、人間の姿に戻してあげたかった。
ひと口でよいから何か食べさせてあげたかった。
チューブを外してあげたかった。
家に帰してあげたかった。
その時に私ができたことといえば、毎日のように見舞いに通うことと、身体をさすってあげることくらい。
まだ中医学の勉強を始めて間もなかった私には、成す術はありませんでした。
なぜ、もっと早く父の異変に気づいてあげられなかったのか。
もっと早く中医学を知っていたら、入院する前の父に何かしてあげられたのではないか?
後悔がうずまき、悔しくてたまりませんでした。
ただ、ひとつ思うことは、すでに尿が出なくなって数年。
父の身体はもうボロボロだったのでしょう。
限界だった。
限界だったのに、ずいぶんと無理をさせてしまいました。
そんなところからも、西洋医学的な、強制的な治療、手術による治療よりも、もっと患者に優しく効果的な治療法でやっていきたい。 あるいは、手術しても、後に出てくる障害を何か緩和する手段や、身体自身が強くなれる方法で、患者や飼い主さんをサポートしてあげたい、という想いが強くなりました。
患者さんと飼い主さんの身体や気持ちが楽になれる治療法
そんなことで、動物病院のパート獣医師をする傍ら、鍼や漢方薬の勉強をしながら、少しずつではありますが中医学の経験を積んできた経緯があります。
西洋医学での治療もやってきた身なので、そのメリット・デメリットも熟知しているつもりです。
なので、もし、かわいがっているペットが、普通の西洋医学の治療で行き詰っていたり、悩んでいたりする飼い主さんがいらっしゃいましたら、ぜひ、ご相談ください。
お近くでないなら、お住まいの近くに中獣医学をやってる知り合いがいればご紹介もできるかもしれません。
治療は一辺倒ではないので、色々と試行錯誤が必要になることもあります。
一緒に考えて、ワンちゃん、ニャンコちゃんが、より自然に楽になれる方法を見つけていきましょう。
そうすることで、いつの間にか、飼い主さんご本人も楽になれることが出てくるのです。
旦那さんのその後
ちなみに、旦那さんは数年前に鍼治療も受けましたが、あまり効果が出ず、もう半ばあきらめていました。
しかし、数ヶ月前、とうとう腕の良い鍼灸師さんが見つかり…。
旦那さんの足のつりは、なんと1回の施術で、治ったのです!!
8年悩んだ足のつりの原因は「梨状筋症候群」という、お尻の筋肉が硬直してしまう病態にあったのです!
施術を受けた旦那さんの感想は、、、
「足先が溶ける感じ」
だそうです。
それまで半分くらい麻痺していた皮膚表面の感覚が、一発で戻ったのだそうです。
すごいですよね。鍼治療。
私もまだまだですが、頑張って腕を磨きます。
ひとまずは、9月の中獣医の鍼の試験に合格するぞ~!!
今日も読んでくださり、ありがとうございました!!
それでは、また^^