こんにちは!あきっと獣医です!
こちらのブログを読んでいただいている方は、うすうす?お気づきになっておられるかもしれませんが、私、この5月に開院いたしました。(告知が遅い!?すみません^^;)パチパチパチ!!ありがとうございます。ペットちゃんと飼い主さんが、少しでもより幸せに健康に暮らせるサポートができるよう頑張ります。
それで、往診だし、鍼や温灸の治療だからそれほど設備投資しなくて良いし・・・と、お金のことを全く計画せずにただポンと開業してしまったんです。
そしたら。。。プリンターが壊れて急遽買わないといけなくなったり、あの器具もいる、この薬もいる、宣伝費用もいる・・・と、色々かかる、かかる(笑)
用意していたお金じゃぜんぜん足りなーい!!(汗)
というわけで、今更、融資をお願いすることにしたんですね。
ところが、金融機関の人に、「東洋医学の動物病院で、鍼や灸をペットに施術するんです。」って言っても、「???」となって、「具体的にどんな治療をしてどんな効果があるのか、資料をください。」とおっしゃる。
愕然としました。
ああ、自分の周りには中医学のことばっかりやってる人が多いから分からなかったけど、やっぱり世間では中獣医学はまだまだ認知度が低いってことなんだ・・・と。
これは一大事です。もっともっとみんなに知ってもらって、こんな素晴らしい治療法があるよって、広めよう!!
そうすれば、悩んでいる飼い主さんにもきっと届くはず。。。
動物病院で沢山治療してきたけど、苦しい思いばかりさせてきた、もっとペットが苦しまずに治療できる方法はないのだろうか?
必死に治療に耐えるペットに飼い主として何かしてあげられることはないのだろうか?
病気になってからではなく、病気にならないように普段から気をつけてあげられることはないのだろうか?
そう、感じている飼い主さんは沢山いらっしゃると思います。
もう、家族と同じです。
ペットが苦しむ姿を目の前にして、笑っていられる飼い主さんはいません。
なんとかしてあげたい、と願いながらも、飼い主さんも相当悲しみ苦しんでいらっしゃいます。
今までは西洋医学の知識しかなかったから、こちらから、こんな方法がありますよ、という提案ができませんでした。
ここが本当に葛藤でした。
でも、中医学を学んだ今は違います。
こんな治療法がありますよ。こんな養生をするといいですよ。とアドバイスできます。
ところが、なじみのない中医学の方法は、一般の方に受け入れられないということも多々あります。やはり皆さん、エビデンス重視なのですね。科学的に証明されたことには納得できるけど、そうでないものに対しては、本当に効くの?おまじないみたいなものではないのか?
そう思っている方も多くいらっしゃるかと思います。
だから、少しでも中医学のことを知ってもらって、中医学がまじないなどではなく、ちゃんとした経験理論に基づいて系統立てて行われる治療法だということを、こちらのブログでもご紹介していければと思っています。
今回、本当は「脾」について書きたかったのですが、いざ書こうとすると、基礎のお話を分かっていただけないと、どうしても理解できないだろう!という壁にぶつかり、いろいろ書いているとまとまらなくて、もう頭ん中がドロドロに。。。(涙)
そんなわけで、ちょっと事例が少なくてつまらないかもしれませんが、中医学の基礎理論のうち、「整体観」と「五行学説」について、書いてみたいと思います。
時々意味がわからない内容もあるかもしれませんが、ご興味のある方は、どうぞお付き合いくださいませー^^
最後にオマケで、我が家の愛犬ちぢみに発覚した新事実について、書きたいと思います^^
中医学では、「整体観」を大切に考える
中医学になじみのない方でも、「旬の食べ物を食べると体に良い」とか、「医食同源」などと、昔から言われていることを耳にしますよね。これは一般に馴染んでいる中医学の考え方の一部と言えます。
中医学では「整体観」というのを大切に考えます。
「整体観」って何かと言いますと、一言で言えば、「身体の内部で起こっていることは、宇宙の関係と同じですよ」ってことです。
これは、「自然や宇宙との一体観で人や動物の体を見る」という、中医学の大きな特徴なのです。
つまり、太陽があって、地球がある。地球には土と水があって、太陽の熱で温められた土と水は生命を育み、温められた水は水蒸気となって蒸発し、上空で冷やされた水はまた地上に落ちて…と、このような関係は生き物の身体の中にもありますよ、さらに身体の中の部分だったり、細かい所まで、この関係が成り立ちますよ、というのが「整体観」なのです。
太陽や地球、個々の生き物や植物のからだ、自然に存在する物、これらすべては、別々に動いているのではなく、互いに関連し合っていますよ、というのです。
これは、西洋医学にはない考え方と言えます。中医学では、身体のことを考える時、季節や自然のことも重要視しているのですね。
一般的にも、「季節の変わり目には体調を崩しやすい」とか、「乾燥する季節には風邪を引きやすい」などと、季節と体調の関係をあらわす文句をよく耳にします。
中医学は、そこをもっと掘り下げて系統立てて関連づけして考えるのです。
そういう着眼点から、陰陽論(万物はすべて陰陽に分けられる)、これから出てくる五行学説(自然界に存在する事象を「木・火・土・金・水」の五つの物質の特性にあてはめる)も生まれたのでしょう。
陰陽のお話や、気・血・水のお話もとても大事なのですけど、ひとまず今回は、五行学説ついて解説したいと思います。
それでは、いってみましょう。
「木・火・土・金・水」の五行学説
イラストは、中医学を勉強する人にとっては、あまりにも有名な「相生相克図」(そうせいそうこくず)というものです。これならちょっとだけ見た事ある、という方もいるかもしれませんね。
ここには、五行学説に説明される、「木・火・土・金・水」(もく・か・ど・こん・すい)と、それぞれに対応するイメージと臓腑、季節が描かれています。
上述したように、五行学説は、自然界に存在する事象を「木・火・土・金・水」の五つの物質の特性にあてはめて説明する考え方です。昔の中国の人はおもしろいこと考えるな~と思うのですが、それぞれについて軽く説明すると、
「木」(もく)
そのまま、木のイメージです。曲がりくねりながらも、枝葉を伸ばしぐーんと広がっていくイメージの木です。成長とか、発散、柔軟、伸長などの作用をもつ事柄を振り分けます。だから、季節は「春」が当てはまり、色は「青(または緑)」、方角は太陽の昇る「東」、五臓(体の臓も五つに分けて考えます)では、のびやかに気血をめぐらせる「肝」がこれに振り分けられます。
「火」(か)
これもそのまま、火のイメージですね。熱いエネルギーをもつ火です。太陽と地球の関係であらわすと、「太陽」にあたります。温熱、上昇、向上などの性質をもつ事柄を振り分けます。季節は「夏」が当てはまり、色は「赤」、方角は太陽が一番高い所になる「南」、五臓では、体の中で一番エネルギーを多くもつ「心」が相当します。
「土」(ど)
母なる大地のイメージです。栄養豊富な大地からは新しい生命が生まれ、育まれ、受け継がれます。死滅した生命はまた大地に受け入れられます。季節は、日本ではたくさん雨が降って生物が元気に成長する「梅雨」があてはめられます。ちなみに、中国では夏の終わりに訪れる長い雨の季節「長夏」があてはめられます。色は土の色で「黄」、方角は「中央」、五臓では食べ物を消化吸収、栄養を合成して生物を営養する「脾」が相当します。
「金」(こん)
きらきら光る金属のイメージです。綺麗な光沢をもち、清潔、硬く、不純なものがない、収斂(ひきしめ)、でも熱されると形が変わる、などの事柄が属します。季節は空や空気が澄み、農作物が金色に実る「秋」、色は白く光る金属の「白」、方角は太陽が収まる「西」、五臓では清浄な空気を好む「肺」が相当します。
「水」(すい)
水のイメージですね。潤す。冷たくて、高いところから低いところへ流れる。滋潤、寒冷、下降の作用をもつ事柄が属します。季節は寒く閉ざされた「冬」、色は深海とか、凝縮して内臓するイメージの「黒」 、方角は「北」、五臓では最も水と関係のある「腎」が相当します。
5つの要素に分けられる事象は、上記に挙げたもの以外にも沢山あり、それらをひとつの表にまとめたのが、「五行色体表」(ごぎょうしきたいひょう)です。
体のうちの感情とか、組織なんかも分けられています。こういったものを参考に症状を読み取って、弁証(診断すること)に活かしていくわけですね。
相生と相克
これら五行学説に登場した「木・火・土・金・水」は互いに関係していますよという内容です。ちょっとしつこいですが、相生相克図をもう一度出します。
外側の赤い→が表す関係が、「相生」です。
よく母と子の関係などとも言われますが、たとえば「木」は「火」を生み出す。
「木は燃えて火を生む」と書いてあります。このように、5つの要素は、相手を生み出す関係がありますよ、ということです。
反対に、中の水色の→が表す関係が、「相克」です。
この関係は相手の勢いが強くなり過ぎないようにコントロールする、という意味での抑制になります。
「木は土の養分を吸い取る」と書いてあります。
これは、養分が多くなりすぎないようにコントロールしますよ、ということです。
これがもし、養分を吸い取りすぎて、相手をいじめてしまうほどの勢いになると、病的な関係になります。それを、「相乗」といいます。
ここからは難しくなってしまうので、追い追いまた機会があれば書きたいと思います。
ひとまず相克は、5つの要素は、相手を抑制する関係がありますよ、というものです。
いかがでしたでしょうか?
私も勉強して間もない頃は、不思議な世界でした。
でも、身の回りの事象と関連づけると、結構いろいろが腑に落ちて、ああ!なるほど、そういうことね~となることが多かったように思います。
興味のある方は、専門書を手にとって、お勉強されてみてはいかがでしょうか?
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私がいっちばん初めに読んだ本です。さらっと中医学を勉強するにはちょうど良いかもしれません。
恩師が執筆しています。独特の世界観と言われているようです。東洋医学は経験の医学なので、教える人によって若干色が着くようです。
ちぢみの新事実
そして、最後にオマケですが、我が家の愛犬ちぢみに発覚した出来事についてちょっとだけ書きたいと思います。
先日、ちぢみのカットをしていたら、どっひゃーな発見をしてしまいました。
それはなんと、これ。
そうです、しめじの出来物が解決したと思ったら今度はちぢみが。。。
大きさは7×5mm。
物理的に血行阻害が分かったしめじの時とは違って、完全に体質バランスの悪さと加齢による免疫力低下からできてしまった出来物と思われます。
そろそろ何とかしないとな、とは思っていたのですが、遅かったか。。。
うーん一体どうしたものか。。。
とりあえず、弁証して、体のバランスを整えるところからやってみましょうか。
というわけで、追い追い、記事と関連がある所で話題にしていきながら、治療にチャレンジしてみようと思います。(そんな悠長なこと言ってて良いものなのかわかりませんが。)
それでは、また^^