あきっと獣医のおうちでほっこり中医学ブログ

中医学を勉強中の獣医師です。犬との生活、鍼治療、マッサージ、食養生、漢方治療、心の持ち方、家族との生活、自己の健康、引き寄せ、などについて綴ります。

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ちぢみんの病態を考察せよ!!

こんにちは!あきっとです!

 

 

昨年試しに植えたクリスマスローズの花が開きました^^

 

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かわいらしい花♪

葉っぱの先が枯れてしまったので、うまく育たなかったのかな?なんて思っていたのですが、無事咲いてくれてとても嬉しいです^^♪

お花は癒されますね~。

 

 

 

 

さて、今日は我が家の愛犬、ちぢみんの《デキモノ》の経過と、病態の分析について、書いてみたいと思います!

 

 

 

以前に発覚したちぢみんの右前肢のデキモノですが、その後どうなったかというと…

 

 

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今現在







わかりますかね?チョンと赤黒いホクロみたいのだけ残ってます。もう膨らみはなくて、周りの皮膚との境界は色だけです。

 

ちなみにbeforeは ↓ ↓ ↓

 

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これを発見した時は、ヤバイな~とハラハラしたものです。でもやっぱり手術は可哀想だし、身体のバランスを整えないとまた違う形で何かしら出てくるとわかっていたので、中医学でやってみようと思いました。

 

 

鍼や漢方薬を試して、いっときは少し大きくなってしまったんですが、治療を続けて順調に小さくなり、その後ほぼ完全に消えました。

 

 

 

今日はその内容について書いていきたいと思います。

みなさんも読みながら、是非ご一緒に考えてみてくださいね!

 

 

 

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さて、その前に、まず、中医学では『病気』をどのようにとらえているのかを、おさらいしましょう。

 

 

 

中医学では、個体が病気になる時は、必ず「身体のバランスが歪んでいる」ととらえます。

 

 

それは、大まかに陰陽のバランス、身体の中を巡る気、血、津液の巡りのバランス、臓腑の働きのバランス、これらのことを指します。(八綱弁証や経絡弁証などもありますが、ひとまず大まかに、という意味でとらえてください。)

 

 

そして、それらのバランスに影響するのが、生まれながらに持っている体質であったり、性格であったり、育った環境であったり、今現在の環境や食習慣であったり、年齢であったり、外的要因であったりします。

 

 

《デキモノ》が生じた時にまずやらないといけないのは、今、その身体はバランスを崩しているのだ、と認識することです。

 

 

また、個体それぞれのバランスを見ることが大事で、西洋医学の病気のように、くしゃみが止まらない=鼻炎→鼻炎の薬 みたいな、症状=病名→治療の考えはしません。

なので、前肢にデキモノができた=腫瘍→摘出みたいな考えもしません。(大きな腫瘍は摘出が必要であることもあります。)

 

 

それでは、ちぢみんはどのようにバランスを崩していたのでしょうか?

 

 

 

ちなみに、この、どのようにバランスを崩しているのか?

というのを考えて、その状態を見極めることを、中医学では「弁証する」と言います。

 

 

弁証するためには、その個体に現れている性質や症状などについてよく観察する必要があります。

 

 

 

それではちぢみんについて一緒に観察して、弁証していきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちぢみんはデキモノができた当時9歳の女の子。その3年半前に乳腺の出来物を手術で摘出しています。その時同時に避妊手術もしました。

 

食いしん坊で、いつも何か食べるものを探し回っています^^; 飼い主がうっかり気を抜くとすぐに太るタイプですね。(雑草やジャリなどを食べてしまうことも)

 

皮膚がとても脂っぽくベタベタして臭う体質です(脂漏症)。皮下脂肪もけっこうついていて、プリっと硬い感じです。

 

口の中は歯垢が付きやすくて粘っこく、とても臭いです。

 

1年半前に大きな火傷を負いました。これは飼い主の不注意で、本当に可哀想な話なのですが、揚げ物が終了した直後の熱い油を、背中からかぶってしまったんですね(T_T)

体幹の左側の半分くらいを火傷にさせてしまい、ケロイドの部分が残っています。

 

半年前くらいからやたら昼間寝てばかりになり、耳が非常に遠くなりました。

 

また、出来物ができる頃から、散歩中に何もない所で前肢をぐねって捻挫したり、昼間たまに痰のからむような咳をするようになりました。

 

体格はやや太め

 水を飲む量は普通です。

おしっこも普通。

食欲は旺盛。(でも普通の量しか食べさせていません。)

便はやわらかめのものが毎日出ます。たまにゆるいです。

性格は明るくマイペースです。落ち着いていて、人懐っこいです。イライラはありません。

 

 

ここまでで、どんな体質か、わかりますか?

どんなところがバランス異常なのでしょうか。

この辺りで、だいたいの体質がわかる人はたぶん専門家レベルですね~。

 

 

それでは先に進みましょう。

 

 

さらに、中医学で大事な視診のひとつ、舌診では

淡白・ やや 白膩(はくじ)・舐められると冷たい

(写真がなくてすみません。)

 

 

また、ワンちゃんやネコちゃんの中医学ではここを見ると良い、と言われるポイント、

肉球」の状態は、

ガサガサと乾燥して硬く、ひび割れあり、色にムラがある。

そして「爪」は先まで栄養がいっていない感じで、変形しています。

 

 

脈診はあまり異常はなく?若干「虚」かな?、太くも細くもなく、速さも普通、中取(手を触れて少し力を入れた時が一番よくわかる)です。弦でもありません。

 

 

体の温度は、頭や足先はやや冷えていて、お腹が温かいです。

暖かい所が好きです。

 

 

 

 

 

それでは、今出た症状について、どのような中医学的特徴が考えられるのか、書き出してみましょう。

 

 

乳腺の出来物→肝うつ気滞、瘀血

避妊手術→腎虚

食欲旺盛、草やジャリを食べる→胃熱

便はやわらかいか、ゆるめ→脾虚

脂漏症、皮下脂肪が多い→皮膚の痰湿、湿熱

口の中が粘っこく臭い→脾胃湿熱

昼間寝てばかり→心気不足

耳が遠い→腎虚

足の出来物、ねんざ→痰湿、瘀血、内毒

 

出来物、何もない所で捻挫→末端部分のめぐりの悪さ(気血津液)、瘀血

痰のからむような咳→肺気虚痰湿

皮膚のやけどとケロイド→肺気虚、瘀血

 

 

 

舌診:淡白・やや 白膩・舐められると冷たい→気虚血虚、寒湿阻滞

肉球:ガサガサと乾燥して硬く、ひび割れあり、色ムラ→血虚、瘀血

爪:変形→血虚

 

脈診→気虚など

 

体の温度:頭や足先はやや冷えて→陽虚

     お腹が温かい→脾胃湿熱

暖かい所が好き→寒証(陽虚)

 

 

 ここまで、ひとつひとつ教科書通りのような感じで書き出してみました。

 

出てきたワードは、

 

   痰湿  湿熱(脾胃湿熱)  瘀血  血虚  陽虚  腎虚  肺気虚

 

こんな感じです。

それぞれを証として並べてみて、それぞれに対して全部対処しようとすると、いくつもの治則を並べないといけなくて、漢方薬や養生をするにもあまりにも数が多くなってしまいます。また、漢方薬などは、あまり多く使うとお互いの要素を邪魔してしまうこともあり、効き目が悪くなるということがあります。

 

 

そこで、弁証を考える時、今現在で何が一番メイン(一番問題となっているトラブル)なのかを見極めることが大事です。

 

 

もちろん、その根底にある原因についても目を向けることも必要で、今現在の症状が消えてきたらその原因にもアプローチしていったり、最初からそこをつつかないといけない場合もあります。

 

 

そして、部位によって証が違うことがあるので、体全体でどのようなバランスになっているのかを考えるということも大切なんですね。

 

 

ちぢみんの場合、一番問題となっているのは、痰湿「瘀血」であると私は考えました。

 

 

湿熱は若い頃からの体質ですが、ちぢみんの場合、高齢になってからは全体の熱量が減って、胃腸以外の体の部分は湿熱よりも痰湿の要素の方が多い感じなんですね。

 

 

痰湿が邪魔して血の巡りが悪く、そこに腎陽虚も加わって余計に血のめぐりが悪くなり血瘀になっている、という状態を考えました。血虚は血瘀と脾虚からきているものでしょう。

 

 

 臓腑で考えると、脾虚(胃強脾弱)が根底にあって、肺気も弱い、腎虚も年齢より進んでいます(おそらく腎精不足)。腎陽が少なくなったせいで、五臓全体に虚があると思います。

 

 

体のイメージでいくと、胃は熱、実の要素があるが、それ以外の部分は痰湿でめぐりが悪く寒、虚の要素、全体としては寒、虚の要素の方が多いです。陰陽で言うと全体としては陰ですかね。

 

 

 

いかがですか?

私としてはこんな解釈をしてみましたが、色々な考え方があるのが中医学の面白さでもあるんですよね。(重症の患者さんの前で面白いなんて感じる余裕はないですが。)

 

 

他に、こんな意見もあるよ!っていう方がいらっしゃれば、是非コメントください^^

私も大変勉強になりますので!

 

 

弁証は誰がやっても大まかには似通ってくると思うのですが、治療家によって微妙に捉え方が異なったり、アプローチの方向性が違ったりします。

 

 

でも、やはりメインをどこにしぼるか?あるいは、時間的優先順位というのか、何を先に解消した方が良いのか?を見極める目が、たぶん腕の見せ所ということなのでしょう。ここはもういくら中医学基礎理論を突き詰めて勉強していても伸びない部分で、経験を積んでセンスを磨くしかないのでしょうね。

 

 

偉そうに言う私もまだまだこれからですので、色んなケーススタディをしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

さて、今日はちょっと専門的な話になってしまいました。

ペットの中医学のことまだよく分からないし、なんか難しいなーと感じる方も多かったと思います。

また機会があれば、基礎のお話もできたらいいなーと思っています。

 

 

ちぢみんの証:痰湿、血瘀、腎陽虚

四字熟語で当てはめたかったのですが、なかなかしっくりくるものがなくて、、^^;

しいて言うなら、飲溢四肢? 血瘀 (脾)腎陽虚

こんなところかな?

 

 

今日はこの辺で!

治則(治療方針)とどんな治療を行ったかについては、またの機会に書いていきますね^^

 

 

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